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帰る場所 14
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まるで迷路のような廊下を走り、何度もコケそうになる俺の手をミヤビさんはずっと強く引いていた。
「お前、シロって言ったっけ。シロはこのまままっすぐ行って、突き当たりのとこの床下から外に逃げろ、隠し通路がある。さすがに2人は通れねえから俺は物置の窓から逃げる。外で合流するぞ」
俺がこく、と縦に首を動かしたのを見てミヤビさんが廊下を曲がって走る。
このまま。まっすぐ。突き当たり。床下。外で、合流。このまま。まっすぐ。突き当たり。床下。
外で、
「シロ」
優しく名前を呼ばれる。
振り返ったそこには、可笑しそうにくつくつ笑っているハラセさん。
「まさか逃げようとしてたのかい?悪いネズミにそそのかされたかな。惜しかったねえ、あと少しだったのにね」
ハラセさんは、最初から気づいていたかのような口ぶりでゆっくり近づいてくる。
「あのネズミには逃げられても構わないけど、君に逃げられるのは困るな。君のような人材は他にいない。みすみす見逃すのは少々惜しいんだ」
あと一歩の距離まで近づいてきたハラセさんは、優しく微笑んで俺の頭に手を乗せると、頬までをゆっくりと撫でた。
このまま、まっすぐ、突き当たり、床下、
「戻ってきてくれるよね?」
外で、
合流。
ハラセさんの腕がそっと背中を押すのに任せて来た道を戻った。
「そう。いい子だ」
人の言うことばかり聞くなってイカリさんに怒られるかな。
でも、イカリさん。やっぱり俺は、人に決めて貰った方が楽だよ。
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