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帰る場所 20
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ナイフの刃が首に刺さる直前でハラセさんがマシロさんの腕を掴み、ダンッと床に倒した。
「…………ッ!」
「残念だったね、全て丸見えだったよ」
突然の事に心臓がバクバク波打っているのがわかる。
マシロさんを押さえつけたままナイフを奪うハラセさん。昔見た彼らの最期が脳内を埋めつくした。
マシロさんが死んでしまう。
また俺のせいで。
想像しただけで指先まで震えて冷たくなった。
あ……俺いま、死んでほしくないって、思ってる。
ちゃんと、マシロさんが死んだら”嫌だ”って思ってる。
いくら忘れても、1度目をそらすのをやめたら感情はすぐそこにあって、いつも俺に訴えかけている。
「君にもシロと同じように顔に傷をつけてあげようか。そうしたらもういよいよ見分けがつかなくなるね」
「へぇ、あの傷おじさんがつけたんだ?センス悪〜」
「だって綺麗な顔に浮かぶ傷なんて最高じゃないか」
「僕は傷なんて無くてもこのままで完璧に完成してる顔面だけど?」
生死が関わるような時に談笑でもしているかの雰囲気で会話をする2人に混乱する。
マシロさんは何が起きても邪魔をするなと言っていた。
俺が何かする事でマシロさんの邪魔になるのなら、ここから動くことが出来ない。
「それもそうだね。じゃあ永遠にその綺麗な顔のままでいれるようにしてあげるよ」
ハラセさんがナイフを持った腕を高く上げていく。
呼吸が早くなって全身から嫌な汗が滲んだ。
どうする、どうしたらいい。俺は何をしたらいい。何もしない方がいい?
ねえイカリさん、俺は……。
───”お前のしたいようにしろ”
…………そうだよ、自分で動かなきゃ。いつまでも変われない。変わるんだろ!動け!
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