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【雨宿り】②(優等生Side)
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今日も外は雨だ…
今は、昼休みも終ったばかりの5限目。しかも説明の下手くそな教師の授業とあって、ダルさは頂点を極めていた。
はぁ…
―ゴロゴロ…―
雷神様もご苦労様です。
―トンッ―
ふと俺の前肩に何かが当たった気がした。
気にせず下を向いたままペンを走らせていると…
―トンッ…コロコロ―
今度は数回当たった後、机の上にそれが転がって来た。
ちぎった…消しゴム?
誰だ?こんな事をするヤツは?俺が学級委員長だと知っての犯行か??…って、そりゃ知ってるよな、同じクラスなんだから。
位置的に、斜め前か…
顔を上げ視線を向けると、昨日俺と供に電話ボックスで雨宿りした、クラスの問題児西岡が俺に向って口をパクパクさせながら声を出さずに何か言っていた。
ん?
『だ・い・じょ・ぶ・か?』
西岡の口の動きはそう言っていた。
『な・に・が・?』
意味が分からず首を傾げながら口パクでそう返すと、イライラした様に口を尖らせ…
『か・み・な・り』
と、上を指差した。
あぁ…なるほど。昨日俺が、雷を怖がっていた事を本気だと思ってるのか。
別に悪気があった訳じゃない、ちょっとした出来心だった。
いっつもウルサイぐらい賑やかで、ギャーギャー騒いでるヤツが、どんな反応をするのか興味があった…ただそれだけ。
結果…ますます興味が沸いた。
つるんでる奴等とは、普通な顔して日常的に肩組んだり頭をグリグリ触ったり触らせたりするクセに、俺に対しては過剰なまでに反応し、その上顔を紅くしながら逃げるように走り去った…
なぜだ?
それに、いつもならこの時間の授業の大半は居眠りしているはずのお前が、なぜ起きて俺の心配をしている?
西岡の問い掛けに、いつまでも返事を返さずにいると西岡が突然手を上げた。
「せんせー何かちょー腹痛いんスけどー!保健室行ってもいいですかぁ?」
クラスみんなの視線が西岡に集まる。
「はいはいどーぞー」
「いやもう、一人では行けないぐらい痛いんスけどー!」
「あ、そう。じゃあ委員長連れてってあげて」
なんとも軽いノリで俺にそう言うと、何事も無かったかのように授業が再開された。
まぁいい…どうせつまらない授業だったんだ。
「ほら行くぞ…」
俺は立ち上がると西岡の腕を掴み引きずる様に外に出た。
「何のマネだ?仮病なんだろ?」
「せっかく雷から助けてやったのに、その言い方ひっでー」
廊下をしばらく歩いた所で西岡はふてくされたように俺の腕を振りほどいた。
「助ける?」
「だってオメーさっき大丈夫かって聞いた後、しかめっ面したまま返事しなかったじゃん…」
いやそれはお前の事を考えてて…
「だから俺様が気をきかせて助けてやったんだ。有り難く思え」
西岡が?助ける?俺を?まさか…
「そう言うと聞こえはいいが、お前がサボりたかっただけだろ?」
気を抜けば緩む口許を、一直線に引き伸ばしてそう言ってみると…
「あ、バレた?」
西岡はエヘヘと笑いながらそう言った。
何だ…やっぱりサボる理由に使われただけか俺。
そう思うと、なんだか胸がモヤっとした。
―続-
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