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路地裏-1
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「じゃあね、隼人くん。おやすみなさい」
「おやすみ遥」
駅まで隼人を見送って、遥は再び部屋に戻った。
鼻唄混じりでテーブルの上のグラスと空き缶を片付ける。
しかし、ほろ酔いな上に普段家事全般をしないものだから、手元が危うい。
「きゃっ」
手を滑らせてグラスを危うく割りそうになりながら、洗い物を始めた。
ふと、玄関からドアの鍵を開ける音が聞こえた。
「あ、そうだ。奏太!」
今日は兄の奏太の2週間ぶりの帰宅日だ。
隼人と顔を合わせることにならずに済んで内心ほっとしながら、遥は頑張って手早く洗い物を済ませた。
「ただいま」
奏太がネクタイを緩めながらリビングに入ってくる。
「おかえりなさい!」
遥はキッチンから出て奏太に飛びつく。
「元気そうだな」
長身の奏太が腰をかがめて遥の額に口づける。
遥を可愛らしい男の娘とするなら、奏太は美形の部類に入るだろう。
ややたれ目だが色気のある目元、細い鼻筋、薄く固く結ばれた口元。
やや険しいが綺麗に整った顔立ちだ。
とはいえ兄弟なので、輪郭など部分的には似通っている。
「……だれか来てたのか?」
キッチンの水きりに伏せられた、洗ったばかりの二つのグラスに目を止めて、奏太が聞いた。
「あ、うん。友達」
「友達、か。……シャワー浴びてくる」
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