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「ねぇ、ディック…やっぱ俺、リオに恋してんのかな」
膝に顔を埋め、ボソリと呟いたダンに、ディックは肩をすくめた。
「さぁな。少なくとも俺には、男にキスしよーなんてゲロい気は起きないけどな」
「今回は未遂デス…」
「何だよ、今回はって…あ、俺のせいか」
「ウン。…しかもね、その時俺、思ったんだ…絶対思っちゃいけないようなこと」
「何?」
「“ディックくたばれ!”って…」
「あー…そりゃ…聖職者の弟とは思えねぇお言葉だな」
「だよねー!あぁぁぁ兄ちゃん神様本当にごめんなさい!」
ダンはそう言って、胸の前で指を組み、素早く祈る仕草をした。
そんなダンを横目に、ディックはため息をつく。
「あぁもう。お前がリオちゃんに本気で惚れてんのは、十分わかった。だけどよ、ダン。リオちゃんってさ…あれでも…下、ついてんだぜ?」
ディックの指摘に、空を仰いでいたダンは髪を掻き毟って頷いた。
「わぁかってるよそんなこと!だって俺見たことあるもん!最初に助けてあげた時にさぁ!体拭いてあげようと思って!それで…」
その時の光景を思い出し、ダンは正直にボッと赤くなった。
体拭いてあげようと、の恰好のまま硬直したダンに、ディックはまたため息をつく。
「うーわー…ついに俺の周りにもホモが出た…こんなん記事にできねぇ…」
キャスケットに隠れ、ボソッと呟いたディックに、ダンが「恋に性別とか関係ないじゃん!」と抗議の声をあげた。
両腕を振り回すダンに「ウゼェ」と舌を鳴らしつつ、ディックが蹴りを入れる。
「なぁ、じゃあお前、男だってわかっててリオちゃんのこと好きになって、それでいてキスまでしようとしたんだろ?じゃあ、その先も…とかって、考えてんの?」
「健全な…男として?」
「健康な男として」
「その…もう幾度となく…ごちそうになりました」
そう言って深々と頭を下げたダンに、ディックはますます「ゲロい」という顔をした。
もちろん“妄想の中で”ごちそうに、という意味だが、同じ男子として、自分にはダンの行動は理解できない。
それでも、砂利に額を着いたまま動かない親友を見下ろし、やれやれとため息をついた。
「これで詰問は最後にする。お前、リオちゃんにその気持ち伝える気あんの?」
ディックの問いかけに、ダンは額に砂利をつけたまま顔を上げた。
腑抜けた顔を見せるダンに、ディックは肩をすくめる。
「まだ言ってないんだろ?」
「…うん」
「言うつもりは?」
「…うーん…今のところ…ない」
「どうして?」
「言ったら…リオ、多分俺と会ってくれなくなるから」
ダンはそう答え、砂利ごとこぶしを握りしめた。
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