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03
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「っ…──!!」
声にならない悲鳴をあげ、リオは抵抗しようとした。
それでも、手はすぐに捕まり、口も塞がれ、足をばたつかせようにも狭すぎて身動きができない。
壁に押し付けられながら、首筋から血が吸い上げられていくのを感じた。
徐々に手足の感覚がなくなり、がたがたと震える体が、命の危機を知らせる。
しかし、リオが気を失うより、シルヴァが口を離すほうが早かった。
「…っんだよ…これ…っ!」
シルヴァは口を拭い、口に含んだものを吐き出した。
リオは解放され、真っ白になった頭で、何とか外へ出ていくことを考える。
しかしドアにかけた手は再び引っ張られ、座席に押し倒された。
「ひっ…!」
「何だよ…何なんだよ、この味」
シルヴァが顔を近づけ、呻く。
その唇の端からリオの血液が流れ、金の瞳は燃えるような怒りを帯びていた。
何が何だかわからない。リオはがたがたと震えたまま、首を横に振る。
「い…や…っ…」
「嫌じゃない」
シルヴァはリオの頭を抱え、今度は先ほどと逆の首筋に噛みついた。
しかし、やはりすぐに口を離し、苦虫を噛み潰したような顔をする。
そして今度はおもむろに扉を開けると、馬車の中にリオを残し、外へ飛び出していった。
御者が驚いた声をあげる。馬の声。馬車が止まる音。悲鳴──そして、何かが地面に落ちる音。
ガチャリと音をたて、止まった馬車にシルヴァが戻ってくる。その顎は、血で真っ赤に染まっていた。
「やぁぁっ──!」
リオは悲鳴をあげ、逃げようとした。
しかしあまりの恐怖に腰が抜けてしまったのか、立つこともままならず、もがいているうちにいとも簡単にシルヴァに捕まる。
シルヴァはリオを馬車から引きずり降ろすと、リオを抱きかかえ、薄暗い森の中を疾走していった。
太陽の当たる道に、主を失った二頭の馬と、馬の下に横たわる男の遺骸が残る。
ショックで、思考がついてこなかった。シルヴァはあの人を殺した。そして血を吸ったんだ。おれの血も──どうして…どうして…?
森を抜けると、見知らぬ村にやってきていた。家々の前の道で、朝の掃き掃除をしている女性の姿がちらほらと見える。
一度立ち止まったシルヴァが、深くフードをかぶり、ゆっくりと歩き始めた。それを感じ、リオは慌てて体を起こす。
「だめ!!みんな逃げて…──っ!」
声を上げるが、その声が届くことはなかった。すぐにケープをかぶせられ、その上からシルヴァに口を押さえつけられる。
「仲間が具合を悪くした。部屋をひとつ借りたい」
シルヴァが誰かに話しかけた。次いで、何か金属のものが散らばる音がする。
よほどの金を積まれたのだろう。足をばたつかせ、もがくリオは明らかに病人ではなかったが、宿屋の女主人は猫撫で声で客を宿に案内した。
シルヴァの容姿を褒める世辞や天気などの世間話をしながら、女は二人を部屋に通す。
シルヴァがカーテンを閉めるよう指示し、その通りにして女主人は部屋を後にする。
バタンと扉が閉まったところで、リオはマットレスの上に落とされた。
慌てて立ち上がり逃げようとするも、扉の前にいるシルヴァと目が合い、びくりと体が竦む。
まるで蛇に睨まれた蛙だ。がたがたと震えているうちに、シルヴァは獲物を見定めた獣のように、ゆっくりとこちらに向かってくる。
それでも恐怖の金縛りを振り払い、リオが飛び降りようとしたその時、強い力がリオをベッドに押し倒した。
「いや!!」
慌てて足をばたつかせても、シルヴァは石のようにびくともしない。
シルヴァはリオの頭を片手で掴んだまま、シャツの襟口を引っ張って先ほどの傷を確かめた。
真っ白な首筋に、赤い穴がふたつ。そこから鮮血が流れ出しているが、その味を確かめる気にもなれない。
悲鳴をあげてもがき続けるリオに、シルヴァはぐいっと顔を近づけた。
「どういうことだよ…これ」
低い声に、リオはびくっとして固まる。
「何で。誰に。何をされた?」
有無を言わせない圧倒的な声で、シルヴァが凄む。
何を言っているのかわからない。リオは震えながら、小さく首を横に振る。
シルヴァは震えるリオの顎に舌を這わせ、唇に軽く噛みついた。
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