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二章
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「うっ……きみひろーッ!」
「ちょ、裕一?」
田中 裕一(たなか ゆういち)。
俺の名を、男にしては高い声で呼んだ田中 君広(たなか きみひろ)に飛びかかるようにして抱きついた。
「な、何っ」
ぎゅぎゅっと力をこめれば、君広が俺の服を引っ張って、苦しげにもがく。
抱きつく度に思うけど、君広は小柄で可愛い。俺とは違って、顔だって女の子みたいに愛らしくて。
だからこそ思う。何で告白されたのが、女みたいな君広じゃなく、どこにでもいるような何の取り柄もない俺なのかと。
「一体どうしたの」
俺の肩から顔を出して、必死に息を整えた君広が、人形のような大きな瞳をくりくりと動かしながら俺を見た。
その瞳に映ったのは予想通り、困惑と涙が滲んだ俺の顔で、また泣きたくなる。
正直、心配してくれるのは凄く嬉しい。嬉しいけど、心の中で降り続ける雨は止みそうにない。
なにせ、初めての告白だったんだ。
その相手が、男ってどうよ。
いや、別にゲイが嫌いなワケではない。しかし、俺の恋愛対象は女であって、男を好きになれるかと問われると、それは別だ。
やっぱり俺が魅力を感じるのは、あの柔らかいフォルムとか可愛らしい性格とかだし。
「俺さ……告白された」
「え」
「しかも、男に」
ぐずぐず悩んでたって仕方がないよな。 笑い飛ばされるだろうけど、君広なら俺の相談にものってくれるかもしれない。
抱擁を解いて、石のように固まってしまった君広を、救いを求めるように見つめる。
「君広?」
てっきり笑い飛ばされると思ったのに。何で無反応なんだよ、不安になるだろ。
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