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朝、顔を合わせずに出て行ってしまったのは初めてだ。
昨日の慧都はキレてた。
「何でお前がキレるんだよ。怒りたいのは俺の方なのに」
俺のことを監禁してるくせに。
可哀想だと思うのは当然じゃないか。
こうしなきゃ、俺が側にいてくれないと思ってる。
確かに、普通に好きだと言われたら驚いたと思う。
でも、6年間も一緒に過ごして来たのだから、離れるなんて選択はしなかった。
きっと今そう伝えたところで、慧都は信じてはくれないだろう。
歪みきってしまったその感情は、友情を壊してしまった。
「いや、壊れたと思ってるのは慧都だけか…」
もう、友人の域を超えてしまった俺たちの関係が、友人に戻ることはできないのかもしれない。
それでも俺は、出来るなら戻りたい。
「あんな酷いことして来たくせに…」
テーブルには俺の分の朝ごはんが並んでいる。
そして昼食も、冷蔵庫の中に用意してある。
テーブルの上には"ごめんね"とだけ書かれた紙が置いてある。
「謝るならすんなよ…」
俺は先に風呂に入ることにした。
あんな風に手酷く抱いたのに、ちゃんと俺の身体を綺麗にしてくれてる。
熱いシャワーを浴びながら、全て流してしまえたらいいのにと何度も考えた。
浴室の鏡に映る俺の姿。
背中にはやっぱり痣が数箇所に出来ていた。
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