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ナジャが、不思議そうに首を傾げて俺を見る。
「どうかされましたか?」
「ううん…なんでも。ところで、なんでナジャがここにいるの?」
「レオナルト様の命令で、あなたを迎えに来たのです。レオナルト様は、本気であなたのことを求めていらっしゃる。あの後、国に帰ろうとしたのですが、この国を出る直前で、レオナルト様が一人で引き返そうとなされた。どうやらあなたと離れてから、ずっとあなたのことを考えていたようです。『今度こそ必ず連れて帰る!』と、それはもう鼻息が荒くて…。大人数は目立ちますから、他の家来は帰して俺だけがついてきたのです」
「……はぁ…」
ナジャの説明を聞いて、俺はぽかんと口を開ける。
レオナルトに連れ去られそうになったあの時から2週間は経っている。それなのに、その間まだこの国に残って俺を狙ってたのか…。
俺は、レオナルトのしつこさに呆れながらも、とても心細い今の状況においては、レオナルトが気にかけてくれていたことが少しだけ嬉しいと思った。
「カナデ様は、一緒にいた男の傍を離れたのですか?こんな時間にそのような格好で街の外へ出ようとしている…。カナデ様が話したくないなら、何も話さなくても大丈夫です。ただ、もし行く宛がないのなら、これからレオナルト様の元へ行って、一緒にスイ国へ参りませんか?」
「えっ!俺が?スイ国へ?」
「はい。申し訳ありませんが、カナデ様が拒否なさいますと、無理矢理に連れて行かなくてはなりません。俺としても、カナデ様に手荒な真似はしたくはない。カナデ様…、どうか一緒にスイ国に来てくれませんか?レオナルト様は不器用なだけで、とても賢くてお優しい方です。必ずカナデ様を大切にして下さいます」
ナジャの言葉に、俺は自然と眉間にシワを寄せてしまう。
ーーあのレオナルトが?優しいって?しかも俺を大切にするって?あの時、俺はかなり酷い扱いを受けたと思うんだけど…。
ナジャが、黙り込んでしまった俺の腕を掴むと、グイッと引っ張って街の外に向かって歩き出した。
抵抗して逃げた所で、この先どうすればいいのかわからなかった俺は、素直にナジャの後をついて行く。
「ナジャ…。俺はこの世界に居場所がない。だから、レオナルトが来て欲しいって言うなら、スイ国へ行ってもいいよ。でも、この前みたいな扱いをされたら、俺はすぐに逃げるよ。それでもいい?」
「わかりました。その時は、俺が協力して逃がしてあげます。でも…きっとカナデ様はそんなことはしないでしょう。レオナルト様は、この前のことをとても反省しておられます。もっと優しくすれば良かった…と一人呟いて、ひどく落ち込んでいました。ふっ…、あの方のあんな姿は初めて見ました。とても驚いた…」
ナジャは、チラリと俺を振り返り小さく笑う。
ずっと表情を崩さなかったナジャの笑った顔は、一気に幼く見えて、俺の重く沈んだ心が少しだけ軽くなった。
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