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アルファムに抱きつくローラントを、少し驚いて見つめる。
ローラントは、クールで冷たい雰囲気のアルファムと違って、とても人懐っこくて柔らかい雰囲気がする。
アルファムは、ローラントの頭を一つ撫でると、身体を離して俺の肩を抱き寄せた。
「ローラント、息災でなによりだ。おまえに紹介しよう。この尊い黒髪の彼は、カナデという。俺の恋人で、いずれ后にと考えている大切な人だ」
「はじめまして。カナデといいます。アルからあなたの話は聞いてます。よろしくお願いします…」
アルファムから離されたことに不満そうな顔をしながらも、俺が挨拶をすると、ローラントは、ニコリと笑って手を差し出した。
「僕はローラントです。うん、噂には聞いてたけど、本当に綺麗な黒髪で可愛い人だね」
「あ…りがとう。えと…、でも俺は男で…」
「うん。それも聞いてる。いいんじゃない?兄上が君を好きなんだから。でも、僕と同じくらいの歳で、王様の后に選ばれるなんてすごいね」
「え…、ローラント…くんは何歳?」
「15歳だよ!」
俺は、ローラントの年齢を聞いて、やっぱり…と苦笑しながらアルファムを見た。
アルファムは、片方の眉をピクリと上げて、俺の額にキスをする。
そして、くっく…と笑いながらローラントに言った。
「ローラント、カナはこう見えて22歳だ。おまえよりも歳上になるのだから、何かと頼ればいいぞ」
「……えっ!僕より7つも上なの!?うそっ、なんで?なんでそんなに若く見えるの?…はっ!もしかして尊い黒髪といい、カナデは神…」
「ちっ、違うから!普通の人間だから!魔法だって剣だって録に使えないか弱い人間だからっ!」
「…うそだ」
じっとりと俺を見てくるローラントに怯みながらも、俺は小さく息を吐いて、ずっと握手したままだった手を、もう一度握り直した。
「本当だよ。俺はこの世界の人に比べたら小柄だから、歳よりも若く見えるんだと思う。それに何の力も無くて、アルやリオに守ってもらうばかりで…。それじゃあ嫌だから、俺もアルや皆んなを守りたいから、今、術や剣を練習してるんだ」
ローラントは、静かに俺の話を聞くと、嬉しそうに笑って俺を見下ろす。
そう。当然のごとく、ローラントの方が俺より10センチは高いのだ。
慣れたとはいえ、7つも下の子に見下ろされていることが、地味に堪える。
でも、何とか年上の威厳を…と、微笑んで見せた。
「カナデ!僕も今、剣の練習をしてるんだ。術も使えるんだけど下手くそでね、よく的を外して、傍に控えている家来に当たりそうになって怒られるんだよ…」
「そ、それは、危険だね…」
ーー王族の人でも術を上手く扱えないとかあるんだ。でも、本当は言いたくないような自分のダメな所を、初めて会った俺にも言っちゃうなんて、ローラントくん可愛いな。
何だかとても親近感が湧いて、俺はニコニコしながらローラントを見る。
二人で手を繋いで笑い合っているのが気に入らなかったのか、アルファムが怖い顔で俺を強く抱きしめた。
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