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あれから高熱を出した俺は、まる2日間ベッドから起き上がれなかった。
ほとんど寝て過ごし、3日目の朝になってようやく、痛かった頭も怠かった身体も嘘のようにスッキリと治った。
浅い眠りを繰り返している最中、シルヴィオ王やセリムが何か話しかけていたように思う。
そしてもう一人、俺と同じ歳くらいか少し若い男が、俺の身体を拭いたり食事を運ぶ手伝いをしていた。
シルヴィオ王は綺麗な銀髪だけど、セリムや他の家来達は灰色っぽい髪色をしている。
その若い男も、銀髪というよりは灰色の肩までの長さの髪をしていた。そして可愛いらしい顔で、俺のことを物珍しそうに見ていた気がする。
2日間寝ていた為に、固まってしまった身体をほぐそうとベッドから降りた。
両手を上にあげて大きく伸びをした後に、身体を横に捻ったり前後に曲げたりして軽く柔軟運動をする。
「いてて…。腰が痛い…。それにお腹減ったなぁ」
クゥと鳴る腹に手を当ててポツリと呟いたその時、扉がノックされて、「失礼します」と言いながら灰色の髪の若い男が入って来た。
ベッドの横に突っ立っている俺を見て、驚いた顔をする。
持っていたカゴをテーブルの上に置くと、ニコリと笑って俺の手を握った。
「元気になったんだね?良かった。君、すごく顔色が悪かったからさぁ」
「え?あ…ありがとう…」
「お礼なんていらないよ?尊い黒髪を持つ君を間近で見れて、得した気分だったよ!」
「…はぁ…」
この若い男は、使用人のような格好をしているのだけど、使用人じゃないのだろうか…。
俺は初対面の筈だけど、とても馴れ馴れしいし、話し方が使用人のそれとは違う。
俺は、彼に名前を聞く為に口を開こうとしたら、再びグゥーと腹が鳴った。
「あっ、ごめん。お腹空いたよね。はい、どうぞ。パンの間に野菜が挟んであるやつと甘い物だよ。俺も、これ好きなんだよね」
若い男が、カゴの中から料理を出してテーブルに並べていく。
彼に促されて席に着くと、両手を合わせて食べ始める。
サンドウィッチのような料理と爽やかな香りのするお茶、そしてこの世界での俺の大好物であるプリンみたいなデザートを全部食べた。
「おおっ、すごいね!昨日までの弱ってたのが嘘みたいだね。もう大丈夫?ねぇねぇ、元気になったなら、俺、君と話がしたい!」
「いいけど…。何を話すの?」
「君がどこから来たのか、そしてこれからどうしたいのか。君が望むなら、ここから逃げる手助けをするよ」
「えっ!?どっ…、どいういことっ?」
俺の隣の椅子に座った若い男の言葉に、俺は身を乗り出して食いつく。
「だって君、炎の国に帰りたいんだろ?俺が世話に来た時、うわ言で『アル…アル…』って言ってたよ。アルって炎の国の王、アルファムのことだろ?あんなに悲しい顔をして、切なげに呼んでるのを聞いたら、帰してあげたいなぁ…って思っちゃうよ」
「君…君は、一体…」
「あ。ごめん、名乗ってなかったね。ちょっと待って…」
若い男は、扉に近づいて外の様子を窺うと、笑いながら急いで戻って来た。
「大丈夫。今は交代の時間だから見張りが離れてるみたい。俺の名前はサッシャ。日の国ディエスの王子だ。この国には、父王の指示で潜入してたんだ」
「…ええっ!!」
日の国の王子、サッシャはニコリと笑うと、灰色の髪の毛を掴んで引っ張った。
灰色の髪の毛がポロリと取れて、下からとても鮮やかな黄色の髪が現れた。
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