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「レオン…っ!」
「カナデ…、すまなかった。俺はおまえを守れなかった。そのせいでこんなの所まで連れ去られてしまった」
苦しそうな表情を浮かべるレオナルトに向かって、俺は慌てて首を横に振る。
「ちっ、違う!俺の不注意だよっ!勝手に部屋を出てアルファムの傍から離れたから…。アルもごめん…っ」
「ん、カナが無事に俺の腕の中に戻って来たならそれでいい。が、お仕置きは必要だな」
「お、お仕置きっ?…いいよ、アルの好きにして…」
「言ったな?よし、早くシルヴィオ王を懲らしめて、炎の国に帰ろう」
「あっ、気をつけて!シルヴィオ王は身体を動けなくする魔法を使うって!」
「みたいだな。レオナルト王から聞いた。だが、心配するな。俺の方が強い」
アルファムが、自信満々で言い放つ。
その威厳のある態度に圧倒されて、俺はボーッとアルファムを見つめた。
「あの時は不意打ちで油断したのだ。俺だって負けてはいない」
レオナルトが、俺とアルファムの隣に並んで憮然とした顔をする。
アルファムの周りには赤い光が、レオナルトの周りには青い光が見える気がして、俺は目を見開いて二人を見た。
「アルもレオンも強いと思うけど、気をつけて。サッシャは、シルヴィオ王の魔法の力がかなり強い、って言ってたよ?」
俺がそう言うと、二人して驚いた顔をした後に、フッと噴き出して笑い始めた。
「日の国の王子は、まだ子供だからな。そう思うのも仕方がない。さて、その王子を助けに行くか。かなり苦戦を強いられてるようだ。カナ、しっかりと俺に掴まってろ」
「うん」
アルファムと向かい合うようにして座り、強く身体に抱きつく。
アルファムが俺のつむじにキスを落とすと、「行くぞ」と言って、レオナルトと共に突進した。
アルファムの邪魔にならないようにと、アルファムの胸にしがみついて目を閉じた俺の瞼の裏に、赤や青の光がチカチカと明滅する。
アルファムの穏やかな心音を聞いて、安心に包まれた俺の耳に、派手な爆撃音や何かがぶつかる音が聞こえる。
アルファムの愛馬ヴァイスが縦横と激しく動く度に、アルファムに回した腕に力を込める。
時間にしたら10分くらいだっただろうか。
急に光も音も止んで、ヴァイスが空中に静止した。
そっとアルファムの胸から顔を上げて横を見ると、レオナルトの愛馬ラルクも少し離れた場所で静止している。
俺は、身体を反転させて前を向き、月明かりに照らし出された周りの様子を見た。
そして、正面を見て、俺は大きく息を呑む。
顔面蒼白で愛馬の上で項垂れるシルヴィオ王と、その隣でセリムが、飛翔する馬に跨ってこちらを睨んでいた。
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