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「ところで、身体はどうなの?怪我はしてない?」
これ以上深く突っ込まれないように、俺はサッシャに尋ねた。
サッシャはベッドから降りて立ち上がると、腕をグルグルと回してみせる。
「ほら、もう元気だよ。どこも怪我はしてないんだ。ミケが庇ってくれたしね。身体に負荷をかけられて疲れただけだよ」
「そっか…。ごめんね、俺、何の役にも立てなくて…」
「え?なにが?俺が好きでやったことだから、カナデは何も気にすることないよ?」
サッシャが、俯いた俺の肩を抱いてテーブルへと移動する。
隣合った椅子に座ると、お茶を一口飲んで、サッシャがニヤニヤしながら俺を見た。
「んふふ~、カナデは疲れが取れてないんじゃない?俺のことは気にしないで、部屋でカナデの王様とゆっくりしてたら良かったのに」
ジロジロと見てくるサッシャに、「なんで?俺、疲れてないよ?」と首を傾げる。
「そう?だってここに赤い痕がついてるよ?それってアルファム王に…」
「えっ!!」
サッシャの言葉を遮って、大きな声を上げて首を押さえる。
違うと否定したいけど、熱い顔で口をパクパクさせて目を泳がす姿では、アルファムとイチャイチャしてたことが丸分かりだ。
俺がどう言おうかと焦っていると、サッシャが楽しそうに笑った。
「数日間離れてたんだから、触れたいと思うのは当然だよ。ほら、俺の元気な姿を見たんだし、部屋に戻って甘えておいでよ」
「う…うん。あ、でもアルもここに来るって言ってたよ」
「え?来るの?じゃあ着替えないとっ。ミケ…」
サッシャが驚いて立ち上がったところで、扉をノックする音と共に、「入るぞ」と言うアルファムの声がした。
ミケが素早く扉へ近づきゆっくりと手前に引く。
白シャツに黒いズボンというラフな格好のアルファムが入って来て、サッシャの前で止まり手を差し出した。
「身体の具合はどうかな?俺は、炎の国エン国の王アルファムだ。今回はカナが世話になった。カナをシルヴィオ王の元から連れ出してくれたこと、感謝する」
「あっ、俺は、日の国ディエスの王子サッシャです。訳あって月の国の城にいたんですけど、城に連れて来られたカナデを見て、一目で気に入ったんです」
「なにっ?」
サッシャの俺を気に入ったという言葉に、アルファムがピクリと反応する。
「あ、大丈夫ですっ。友達として仲良くなりたいとかの意味ですから。それで、来てすぐに熱を出したカナデを、無理言って世話させてもらってたんです。カナデは高熱にうなされながらあなたの名前を繰り返し呼んでいて…。下の者にひどく厳しいシルヴィオ王に腹が立っていたこともあって、カナデを助けてあげたいと思ったんです」
「そうか…」とアルファムが頷く。
「見たところ、怪我も大したことはなさそうだ。明朝には俺の城に向かう。今日は無理せず身体を休めてくれ。…では、俺は部屋に戻るがカナはどうする?」
「あ、俺も戻る。サッシャ、本当にありがとう。また後でね」
サッシャとミケに軽く頷いて、扉へ向かうアルファムに続く。
サッシャに笑って手を振り、頭を下げるミケに軽く会釈をして部屋を出た。
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