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犯人捜し
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俺の頭の上でアルファムが一つ息を吐くと、「シアン」と静かに呼びかけた。
「…はい」
「命令だ。これ以上カナを悲しませることは許さない。おまえには、これからもエン国の為に働いてもらう」
「ですが…」
「口答えをするな。今から重要な仕事を与える。カナの食べ物に毒を仕込んだ犯人を捜せ。必ず誰か突き止めろ。今おまえのやるべき事は、死ぬ事ではなく犯人を見つけ出し、二度とカナが危ない目に合わないようにすることだ」
カシャンと鎖を揺らして、シアンが大きく目を見開きアルファムを見た。
「そう…ですね。俺は、気が動転して大事なことを忘れていました。まずは犯人を見つけないと、またカナデ様が危険に晒されるかもしれない。わかりました。アルファム様、必ず犯人を捜し出します」
「頼むぞ、シアン。もう大丈夫だな?」
「はい」
アルファムは、シアンの目を見つめて強く頷いた。
俺も、もう迷いのないシアンを見て、また涙を溢れさせる。
「よ…かった…、シアン。俺に関係することでまた何かあったら、俺がシアンに罰を与えるから、勝手なことはしたらダメだよっ」
「はい…。申し訳ありません…」
「罰ってなんだ?」
アルファムが、また泣いてるのかと笑って、俺の頬を大きな手で包む。
俺は袖で顔を拭うと、首を傾げて「お、お尻を叩く…とか…」と言ってアルファムを見上げた。
途端に、大きな笑い声が地下に響く。
笑われたことが不満でアルファムを睨むと、アルファムだけじゃなく、リオも、まだ鎖に繋がれたままのシアンでさえも、肩を震わせて笑っていた。
「…何がおかしいんだよ…」
「だって、おまえ…っ」
目に涙を浮かべて笑うアルファムを睨みつけていたけど、その華やかな笑顔に見蕩れて俺の怒りなんてすぐに消えてしまう。
でも俺の口はまだ尖っていたようで、アルファムが音を鳴らして口付けた。
「カナは本当に可愛いな。愛してるぞ」
「お、俺も好きだけど…、なんで笑ったんだよ…」
「カナデ様」
リオに鎖を外してもらい、シアンが鉄格子の扉を潜って俺の傍に来た。
「カナデ様、これからは、もし俺が不始末をしたら、あなたの罰を受けることにします。お尻を叩く…でしたか。…くっ…、コホン。そんな可愛らしい罰なら、ぜひともお願いしたい」
「シアン…。俺をバカにしてる?」
「とんでもない。あなたは本当に愛すべきお方だ。どうか、末永くアルファム様の傍で支えてあげてください。俺は、アルファム様とカナデ様の為なら、何でもします。とりあえずは、あなたに毒をもった犯人を必ず見つけ出します」
「うん、ありがとう。でも、無理はしないでね」
俺の言葉にニコリと微笑むと、シアンは深く頭を下げた。
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