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* Scent.2 *
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「怒られそう」や「これだけ暇だとクビになりそうね」などという冗談は、毎日のように飛び交っているが、そういうことは今までに一切なかった。
さすがに暇をもて余していることは誰も外部には漏らさない。
昼休みに入る前に一応オーダーが出ることを見越して、カウンターを離れて中で作業をしようとしたときだった。
「立花さーん! おはようございますっ」
「えっ、二葉[フタバ]君? 今日のシフトは午後からじゃなかったっけ……」
立花に向けて元気に挨拶をかけてきたのは、少年とも覚束ない可愛らしい男の子だ。
チョーカーを首に巻いている、立花と同じオメガだ。
オメガ性であるせいで散々惨めな思いをしてきた立花は、自らの項を守るための布地は決して人目には晒さない。
シャツのボタンをきっちり上まで留めている立花に対して、二葉は普通のトレーナーを着ているだけだ。
「だって、立花さんの淹れたコーヒー飲みたかったんだもん。仕事中は飲ませてくれないじゃないですかぁ」
「誰が淹れても同じだよ。それより今月あんなに入ってもらって大丈夫?」
「実習期間はもう終わったし暇なんで。授業よりバイトのほうが楽しいし」
「学生の本分は勉強なんだからね」
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