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* Scent.2 *
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……────。
「最近来る男の子、格好よくて目の保養になるわ……」
「あ、包海さん。ちょっとこっちに来て」
パートの内田と三谷[ミタニ]に呼び止められ、立花は電動のコーヒーミルの電源を落として、話題に混ざる。
「あの眼鏡の男の子って、包海さんの知り合いなの? 毎日仲良さそうに話してるじゃない?」
「涼風さんのことですか? 知り合いっていうほどでもないですけど……」
知り合い未満は赤の他人じゃないのか、と口に出してから気がつく。
「お互いに名前を知っているくらいです」と訂正したが、大して変わらないな、と心の中で呟く。
「ええ、そうなの? 仲良さそうにしてるから、てっきり友達だと思ってた」
思い起こしてみると名前以外は本当に知らないのだ。
立花の無関心さとは裏腹に、彼は毎日違った質問をかけてくる。
最初は「立花君ってここの学生?」からだった。
『高校生のときに志望していたんですけど、家の事情で結局受験はしなかったです』
奨学金を借りながら通おうとしていることを英智に打診したが、却下された。
オメガの立花を引き取ることに反対していた義母の許しは出ないと分かりきっていたので、頼みの綱は英智だけだったのだ。
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