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* Scent.2 *
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「勉学に励みたいという気持ちは尊重するが、男をつくらないとも限らないだろう?」
番探しをする訳じゃない。反論したが、英智は鼻で笑うだけだった。
お金を借りるためには保護者ともう1人保証人の名前が必要で、その宛ては他に誰もいなかった。
両親の行方さえも教えてもらえなかったのに。
噂をすれば、涼風がカウンター越しにひょこっと現れて、「こんにちは」と挨拶をする。
周りがきゃあ、と歓喜の声を上げる中、立花はやや控えめに会釈をした。
「私達は遠くから見てるだけでいいから! 包海さん、なるべく長く引き留めていて」
「は……はあ」
難しいオーダーに立花は曖昧に返事をする。
ほぼ毎日来店する涼風は、彼女達の仕事のモチベーションになっているようだった。
「今日も二葉君はいない?」
「え……ああ、お休みです。テスト前で連休をもらいたいって」
期末試験の期間と合わせてちょうど3週間、二葉は申し訳なさそうにしながらシフトを割り当てている立花に頼んだ。
特に人手不足でもないし、大丈夫だよ、と宥めて、二葉の希望を承諾した。
連日、彼の姿が見えないことに、涼風は違和感を覚えたのだろう。
「そっか。少し寂しくなるな」
「……そうですね」
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