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* Scent.4 *
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ソファに座るよう促されても、立花はそのようにしなかった。
宛てのなくなったマグカップを両方ともローテーブルに置くと、涼風は立花の視線の位置よりも深く、頭を下げる。
「本当に取り返しのつかないことをしたと思ってる」
「……だから、気にしてません。それに、誰かに言うつもりもないので。涼風さんが来てくれなかったら、他の人に抱かれていたまでです」
謝罪が欲しい訳でもないし、涼風を貶めたい訳でもない。
それでも、まるで自分に非があるような言い方に、かえって立花は傷ついた。
投げやりに放った言葉に、涼風は立花よりも傷ついた表情を見せる。
「口止めなら約束出来ますよ。お金とか謝罪とか、そういうのもいらないです。涼風さんだって、騒がれたら困るでしょう」
「……それでも、責任はきちんと取るつもりでいる」
あの後の記憶は思い出せないでいた。
ヒートに入った涼風のフェロモンに触発されて、立花も突発的に発情してしまったのだ。
保健医と職員が駆けつけて、意識のない立花に抑制剤を投与したと聞かされている。
情交の痕跡を消した後、立花の保護者に迎えに来てくれるよう連絡を取ったという。
「抱かれたのか?」と瑛智に執拗に問いただされたが、涼風に危害が及ぶことを恐れて立花は否定した。
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