アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Scent.4 *
-
歓迎会は当然ながら学生が主体となっていて、関係のない立花は萎縮してしまう。
同い年くらいの学生が1人ずつ立って自己紹介をするのを眺めながら、立花はレモンサワーをちびちびと飲んでいた。
「端までいったから……じゃあ、次は立花君ね」
突然指名されて、立花はグラスの中でごふっと咳き込んでしまった。
口の中と喉に酸っぱい味が拡がって、瞳を潤ませる。
断るのも変に映ると思って、立花はその場で立ち上がり自分の名前を口にした。
「包海 立花です」
「え、え? 立花君それだけ? 持ち時間まだまだあるよ」
真下にそう焚きつけられても、適切なアドリブが浮かばなくて立花は目を泳がせる。
「2年の子? あんな子いたっけ……」
「え、芸能人かな。すっごく綺麗な顔してるよね」
溶け込めていない浮きがちな立花について、周りは口々に憶測やら疑問を半端に投げかける。
それを勝手に拾って答えてよいものか迷ったけれど、他に語る経歴も何もなくてそれらの内容を借りることにした。
「食堂横のカフェでアルバイトをしています。今日は涼風さんと真下さんに誘っていただきました」
ややアルコールが入っていることもあって、物珍しいゲストの参加に盛り上がった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
101 / 263