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* Scent.4 *
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立花も気分がよくなって、新しいお酒を頼んだ。
「わりぃ。道が混んでて遅れた」
涼風、そして真下に軽く頭を下げながら、空いている立花の真正面にどかっと腰を下ろす。
着くなり涼風と親しそうに話す男をしばらくぼうっと見つめていると、力強い視線で逆に射抜かれてしまった。
「誰だ……郁の番か?」
「違うよ。うちの大学のカフェの店員さん」
きっぱりと否定されてもの寂しい気持ちになる。
恥ずかしさと入り交じった複雑な気分を晴らすために、梅酒を一気に煽った。
「ごめんね。立花君。福井[フクイ]は思ったことがすぐ口に出るタイプだから」
立花の1番苦手なタイプだ。
それでも涼風の手前、友人らしき男に、立花はにこにこと笑顔を貼りつけた。
「番探してるならそいつ、捕まえておいたほうがいいぜ。将来の社長さんだからな」
「そんなに大層なものじゃないって」
涼風は笑いながら否定すると、立花と同じようにグラスに残っているお酒を全て飲み干した。
「ご実家のお仕事を継ぐ、とかですか?」
「ううん。うちは普通の家庭だから。今の研究を臨床に応用出来ないか、っていろいろ試行錯誤しているところ。あんまり上手くいってないけどね」
「出資の話もきてるんだぜ。謙遜すんなって」
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