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* Scent.4 *
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「立花くーん……って、大丈夫?」
「酔い潰れてんなぁ。ちゃんと見てなかったのかよ」
「えー、あの後梅酒1杯しか飲んでなかったのに」
ぺちぺち、と冷たい手の甲を当てられて、立花は無意識のうちに頬擦りをする。
正座のままで、宴会用の低いテーブルに突っ伏している立花の意識は、いくら揺り起こされても浮上しない。
「俺は立花君を送るから、適当に行ってきなよ。二次会、予約してるんだろ」
「郁ちゃん、こういうときはスマートなんだからっ」
──涼風さん……? 涼風さんの匂いが、すごく、近い……。
「立花君立てる? 顔赤いな……気持ち悪くはない?」
「……ん、涼風さんだぁ……。手、冷たくて気持ちいい……」
癖のある紅茶色の前髪をかき上げて、立花の表情を確認する。
涼風の整った顔が普段より近いのに、それを認識出来ていない立花は、ごろごろと陽だまりの下でリラックスする猫のようにただ甘えている。
1人ではふらふらと千鳥足になってしまうので半身を支えられ、立花は店の外へ出た。
涼風の手よりも冷たい温度の夜風が、汗ばんだ頰や首筋に吹きつけてくる。
次第に寒くなってきて、自然に涼風のほうへと身を寄せた。
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