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* Scent.5 *
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立花の使えるお金の範囲内では、飲み会のときのようにコーディネート一式を何着もぽんと買えない。
それに組み合わせや色もよく分からないので、自分よりもお洒落でファッションに詳しいだろう二葉に、指南してもらっている。
立花の「服を一緒に見に行って欲しい」という誘いは、涼風絡みだと簡単に見破られてしまい、経緯を話すことと引き換えに買いものに付き合ってもらった。
「冬物が意外と安くて僕もつい買っちゃいました。最初に見たお店のニット、すごく似合ってましたね! 立花さん素材がいいから何でも着こなせますね……って聞いてます?」
「……え? ごめん。何の話だっけ」
二葉の後ろをぼーっと見つめていた立花は、トーンの違う声で話しかけられてはっとする。
いないことは分かりきっているのに、涼風くらいの背丈の男性がいたら、ついその人を見てしまうのだ。
「僕とのデートじゃなくて、涼風さんとがよかったなぁ、なんて思ってます?」
「そ、そんなこと……思ってない」
「立花さん……とんでもなく嘘が下手ですね。もちろん冗談なので真面目に答えなくていいですよ。からかってごめんなさい」
嘘が下手だと指摘されてどきりとする。
二葉の冗談は分かりにくいし、言葉をそのままの意味で考えてしまう立花は、上手い返しも思いつかない。
──涼風さんの前で、ぼろを出してないといいけど。
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