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「すごく美味しいね」
「今度、涼風さんにつくってあげたらどうですか」
「……食べてくれるかな?」
「大丈夫ですよ! だって、立花さんの料理を1番食べてる僕が言うんですから」
「料理っていうか、まかないだけどね」
オムライスのような本格的な料理はつくったことがない。
カフェでも野菜の切れ端や日持ちのしない食材を使って、小腹を満たすくらいのまかないを普段つくっている。
休憩スペースに置いてあるインスタントの紅茶や、長期休みなどを利用して誰かが買ってきた旅行のお土産を、立花も食べているのでそのお返しだ。
涼風が自分のつくったご飯を食べているシーンを想像して、あまり笑わない立花の頬は簡単に緩む。
頭の中に浮かんでいる情景を、二葉にぴたりと当てられて立花は赤面した。
……────。
少し遅めのランチを済ませて、そろそろ帰ろうかとなったときに、二葉が買いもの中に迷っていた雑貨をやっぱり買いたいと言い出した。
立花も付き合うと言ったが、解散の予定にしていた時間を過ぎていることを気にして、二葉は「大丈夫です」と断った。
二葉とは別れて、1人帰るために駅へ歩を進める。
確か構内の改札のすぐ隣に書店があったはずだ。
レシピ本を買おうかと考えると、自然と足早になる。
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