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* Scent.5 *
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アドレナリンがたくさん出ていたから痛みも感じなかったのかもね、と涼風は面白おかしく言う。
何もないようにひらひらと左手を振ってみせるが、包帯を幾重もぐるぐる巻きにされていて、かなり痛そうだった。
「ひび……!? だ、大丈夫なんですかっ? それ……僕が発情したときの……ですよね?」
「今は全然痛くないから大丈夫だよ。ギプスも必要以上に動かさないようにするためのものだし」
そうは言うが、立花が発情しなければその傷はなかったものであるし、負い目を感じるのは当然だ。
「最初は犬に噛まれたって言ってたんだけど……犬種とかどこの犬かとか、いろいろ聞かれてしまって。自分で噛んだって白状したら、医者にはすごく疑われたからちょっと大変だった。整形外科を受診したのに、心療内科を勧められたよ」
元気のない立花を笑わせるために、涼風はポジティブな口調で話す。
笑わなきゃ、と義務感に駆られるほど、楽しくもないのに笑えなくて。
不意に膝に置いた手を取られて、涼風の顔を見上げた。
「立花君は……何かあった? 俺の思い違いかもしれないけど……いつもと少し、違うから」
「だって、涼風さん……。僕のせいで怪我してるから」
「何で立花君が気にするの。俺が咄嗟に噛んだだけ」
「でもっ……!」
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