アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
* Scent.5 *
-
実験の有機溶媒で乾燥してかさついた指と、ごわごわした包帯の感触が、立花の手を包んでいる。
薄い手のひらの感触なんて、触っていても楽しくないだろうに、涼風はマッサージをするようにやわやわと揉んでいる。
机の袖の下だから、遠くのほうで談笑している生徒達には、多分分からない。
人目を忍んで恋人らしいことをしている……意識し出すと、顔が熱くなってまともに涼風を見られなくなる。
「涼風さん。オムライスって好きですか?」
「オムライス?」
唐突な質問だったと言ってから気付いて、また赤面してしまう。
会話は相変わらず下手だけれど、立花から話題を振ることは稀なので、涼風はにこにこと嬉しそうにしている。
「うん。好きだよ。いい大人がオムライスとかハンバーグ好きなのって、恥ずかしいからあんまり言わないんだけど」
涼風があんまり話さないという好物の話を聞けて嬉しい。
立花が珍しく笑うと、涼風はふて腐れた振りをしてちょっと拗ねてみせる。
「恥ずかしくなんかないです。僕も大人だけど、オムライスとハンバーグ、好きですよ」
「立花君は似合うからいいんだよ。ちょっとずつスプーンで掬って食べるの想像すると、絶対可愛い」
「……僕だって大口で食べますよ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
145 / 263