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* Scent.5 *
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そんな態度を取っているうちに、涼風からのメッセージはめっきりと減ってしまった。
可愛いげのない立花に飽きてしまったのかもしれないし、忙しそうな振りをしているから、遠慮しているのかもしれない。
嫌なやつになるつもりはなかったから、普通にしておけばよかった。
でももう、1度空いてしまった距離をどう埋めたらいいのかも分からなくなっていた。
もうどうにもならないと分かっていても、同じことを繰り返してしまう。
涼風につくるために、立花はよくキッチンに立って料理をするようになっていた。
誰に振る舞う訳でもないから、練習をするのは自分で消費出来る材料の分だけだ。
つくるだけつくって、食べきれなくて食材を捨てるのはもったいなくて出来ない。
ケチャップライスは申し分のない出来にはなったが、卵で包む行程が上手くならなくていつも溜め息をついている。
つくるのは半熟のオムライスではなくて、焼き目のついたプレーンタイプだ。
今日も卵の膜から飛び出したケチャップライスをつつきながら、それらをまとめて喉の奥に流し込んでいく。
こうして涼風のいなくなった前と代わり映えのない日常の中で、自分は生きている。
仁居の元へ身請けされる日まで、後僅かしかない。
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