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* Scent.5 *
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──「次の発情期には番にしてあげるから、首輪を外す鍵を持って来なさい」
立花は仁居の言葉に従い、何年も前にとっくに手元から離していた鍵を返してもらいに行く。
包海家の者は誰1人として信用していないが、結果的には唯人に預けておいて正解だったようだ。
学校へ行っている間に、立花の部屋は幾度となく荒らされている。
養子の立花を気に入らない義母の仕業だと決めつけていたが、唯人が「お父さんだよ」とあっさり明かしたのだ。
瑛智が首輪の鍵を探していることも唯人から伝えられて、戦慄した。
唯人は立花との秘め事を、身内であろうと決して漏らさない。
それは頭の隅にはあるけれど、気味が悪いことに変わりはなかった。
「……入るよ」
包海の1人息子がこの部屋から出たところを、もう久しく見ていない。
適度に外にも出ず、まともに栄養を摂っていないから身体は相変わらず幼少のままで、か弱い。
一切の光が差さない部屋は湿っぽくて陰鬱だ。
外の廊下の照明が届いて、部屋の中の輪郭がかろうじて目に見える。
ベッドの上の不自然なシーツの盛り上がり方を見て、立花はその方向へ声を投げた。
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