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* Scent.6 *
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立花と寝た客は大きな情報をふらっと漏らすときがあり、それらを集めてくるのも立花の仕事だった。
逆に立花を買うのが目的ではなくて、瑛智の仕事について聞き出そうとする者も中にはいた。
立花が裏切ることも予期して、慎重な性格の瑛智は秘密裏に大学病院との共同プロジェクトを押し進めているつもりだった。
涼風の握っている情報は、立花の無事と引き換えだ。
何日か振りに服を着せられて、瑛智とともに応接間へと向かう。
着いていくための足取りも、身に纏っている服も重い。
──涼風さんは……どうして。
探し出して来てくれて、本当はそれを喜ぶべきなのだろう。
でも、一抹の不安がどうしても拭えない。
この扉の先に涼風がいることは疑いようのない事実だ。
廊下に立花のよく知る、甘く脳を痺れさせるような安心する匂いが残っている。
特別嗅覚が鋭い訳でもないし、好みの匂いがある訳でもないが、涼風の匂いは初見で気に入って覚えていた。
「涼風さんっ……」
「立花君っ。無事でよかった……」
この香りにずっと包まれていたい。
立花の安否が分かり、涼風はほっとしたような顔を見せたが、痩せた頬と身体を見て表情を曇らせた。
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