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* Scent.6 *
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「申し遅れましたな。包海 瑛智だ。何せ知り合いしか登録していないほうに着信が入ったものだから、驚いてしまってね。不躾な態度を取ってしまった」
瑛智は事実を述べるだけで、謝罪は一切口にしなかった。
涼風も続けて、軽く頭を下げる。
「いえ。こちらが勝手に調べあげただけですから。立花君の職場で院生をしている、涼風 郁と言います」
調べあげた、という言葉のニュアンスに、瑛智は怪訝そうに涼風を見た。
ただの出任せではないと、涼風の自信に満ち足りた目が物語っている。
決して主導権を握られることのないように、瑛智は慎重に言葉を選んでいく。
「立花が世話になっているね。ところで、携帯の番号は誰から聞いたものだろうか。私への連絡は普段、取り次いでもらうことになっていてね」
「ええ、だから、調べました。番号もこの場所の住所も、あなたが立花君を利用して会社の資金繰りをしていることも。俺は全て知っています」
──調べたって……僕が身体を売っていることも?
途端に身体が震え出す。
1番知られたくなかった真実に、涼風は辿り着いてしまった。
自分の意思じゃない。涼風にそう伝えたかったが、立花の気持ちがどうであろうと他の男に抱かれていたという事実は変えられない。
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