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* Scent.6 *
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追い詰められているはずの瑛智は、合点がいったようでわざとらしく豪快に声を上げて笑った。
「それはそれは……申し訳なかった。涼風さんも加わりたいと……そういうことだね。立花は見ての通り、誰とも番っていないフリーのオメガだ。値は少々張るが、傷をつけるような行為さえしなければ、後は好きにしてもいい。200万でどうだ?」
具体的な値段を示して、瑛智はにたにたと意地の悪い笑みを浮かべている。
自身につけられている値段を初めて知った立花は、怒りと羞恥で唇を噛み締めた。
項はまっさらな状態で病気を持っていない、見目のいいオメガに相場以上の大金をつぎ込む客は、オメガの数より沢山存在する。
「立花君はそんなことを望んでいない。俺は今日、立花君を引き取りに来たんです」
「話が通じないらしい。立花は私のものだ。立花も私に拾ってもらえて感謝しているだろうよ。アルファと同じいい暮らしをさせているのだからね」
「そうだろう?」と瑛智が続ける。
逃げ出したい、やめたい、もう客相手に足を開きたくない。
泣き言を漏らす度に折檻されては、逃げ道を塞ぐように言いくるめられてきた。
パートナーや親に捨てられたり、仕事に就けなくて明日を生きられないオメガは立花の思い描く以上にいる。
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