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* Scent.6 *
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行く宛てのなかった自分を救ってくれた瑛智に、いつか違う形で恩を返したいと思っていたのに。
「違う……僕は、ずっと嫌だった。好きでもない相手と、なんて」
「嫌だと? おかしなことを言うね。立花も楽しんでいただろう。私も見ていたから知っているさ」
そうなるように薬を入れられていたからだ。
オメガの身体はセックスの快楽を求めるようには出来ていても、決して心地のよいものだとは感じなかった。
「オメガを抱くのが上位のアルファのステータスだ。ただでさえ数の少ないオメガを番にしてどうする」
「立花君はオメガである前に1人の人間だ。俺もあなたもアルファだが、オメガを自由に扱っていい権利はない」
対立する2人の気迫を前に、立花は意識を繋いでいるのがやっとだった。
涼風がどんなに正論を並べたって、瑛智の持つ力には及ばないのだと知っている。
自らが上位のアルファだと自負する瑛智は、周りを同じような人種で固めている。
国や政界と繋がりのある者もいて、オメガを抱くという秘密を共有しているのだ。
「本題に入ります。アルファから金を受け取っていたこと、そしてそのリストも持っています」
「それくらいで私を追い詰めたつもりか? 書類だけでは何の証拠にもならないが」
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