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* Scent.6 *
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そこにも噛み跡をつけて欲しい。涼風のものだという証が欲しい。
煮詰められたようにどろどろに溶かされた思考の中で、唯一形を残している意志を口にした。
番になりたい──と。
身も心も涼風のものにして欲しい。ここから一生出られなくてもいい。
熱い吐息が項を掠め、次の瞬間にはつぷりと薄い皮膚が弾けていた。
深く、深く、もう2度と消えないくらいに、傷を残して欲しい。
シーツを固く握り締めた手を重ねられて、立花は全身から力を抜いた。
そうすると、涼風の牙が想定しない場所にまで届いて、小さな悲鳴が口の端から漏れる。
最愛の運命の人と繋がり、唯一の存在になれたことに、全身の細胞が歓喜にうち震えているのだ。
きっと、この痛みは忘れられない。
視界がぼやけていて輪郭がよく分からない。
自分の身体だって、今にも溶け出してしまいそうだ。
本当の意味で涼風と1つになれて、立花は感じたことのない幸福感に包まれていた。
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