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* Scent.7 *
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……────。
「今までお世話になりました」
シフトの入れ替わりの時間、なるべくパートやアルバイトがいるときに立花は話があります、と言って人を呼んでいた。
大学の期末試験が終わり、季節はまだ厳しい寒さの続く2月になっていた。
講義のなくなった学校の構内は、休暇に入った若い生徒がいないため、がらんとしていて寂しい印象を受ける。
大抵の生徒が長期の休暇を利用して、下宿組は実家に帰っていたり、アルバイトの予定を詰めたりするのだ。
一方で研究室やゼミに所属している生徒は、シラバス通りの休暇とは無縁のようで、日々忙しそうにしていた。
「……え、立花さん……辞めちゃうんですか?」
実家からここに通っている二葉は、いつもと変わらずシフトに入ってくれている。
探るような声色で質問されて、立花は申し訳なさそうに返事をした。
以前、立花に対する陰口を叩いていたパートの女性達は、そのことが原因ではないかと勘違いしたらしく、またも頭を下げられた。
「包海さんが悪い訳じゃない。責任があるのは私達のほう」と、彼女達が不要な負い目を感じているものだから、本当のことを言わざるを得なくなってしまった。
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