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* Scent.7 *
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「辞めることも……ですけど。涼風さんと付き合い始めたっていうこと! 立花さんとは友達だと思ってたのに」
二葉はむすっと唇を薄く引いて、不満を露にしている。
接客はパート達に任せて、立花は仕事の引き継ぎをするために二葉を裏に呼んだ。
「発注関係の用紙はこの棚に入ってるから。なるべく夕方の4時までには済ませて……」
2人きりになった部屋の中で、後ろから抱きつかれていた。
立花とそう変わらない背丈の二葉が、背中に頬を擦りつけている。
「……あの、二葉君?」
「や、いや……です。立花さんが遠くに行っちゃうの。涼風さんと付き合うのは、応援しています。でも、僕にとっても、立花さんは……大切な人だから。会えなくなるのは……嫌」
ストレートに自分への思いを伝えられて、目頭が熱くなって鼻が詰まる。
──二葉君ともっと、もっと仲良くしたかったな。
立花だけが愛想がよくて誰からも愛されている二葉を、苦手で疎んで避けていた。
嫌なことや悪いことをはっきりと嫌いだと言える、二葉を今は尊敬している。
1番信頼をしている友達だからこそ、言わなければと思った。
「番になったんだ。涼風さんと」
「番に……そっか。立花さんも、そうなんだ」
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