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* Scent.7 *
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「高校生のときに付き合っていた彼に、番になろうと言われたんです。本気だったのか、ヒート中で咄嗟に口から出たのか。今となっては分かりませんけど」
ぽつり、ぽつりと言葉を垂らしていく。
立花はどういう表情をしていいのかも分からずに、二葉の放った言葉の意味を咀嚼する。
「大事にすると言ってくれました。でも僕が迂闊だったので、すぐに両親に気付かれました。僕の家は、そこそこ大きくて。もちろんお互いに合意だったと説明はしたけど、彼を加害者にして訴えて……相手が男だったっていうのも、ショックだったようです」
第2の性が生まれたことにより、個々のステータスは多様化した。
立花や二葉の親にあたる世代は、同性同士のパートナーシップには否定的な考えを持っているほうが多数だ。
ニュースなどでは結ばれたアルファとオメガは、運命というきらきらした言葉を使って美談のように語られ、世間の同情を誘うが、所詮は他人事で身内となればまた話が違ってくる。
「最初のうちは彼も、僕の両親を説得してくれました。……でも、何も変わらなくて疲れちゃって。病んでしまって。って、何で立花さんが泣くんですか」
「だって……いつも元気で明るいのに、そんなに辛いこと隠してるって、思わなかった」
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