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* Scent.7 *
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相変わらず芯が強く、年上に物怖じしない爛漫な子だな、と感心する。
ところでどうして、二葉が涼風に怒られるのだろう。
ふと気付いた疑問を口にしようとしたところで、女性の高い声が立花達のいる事務室まで届いてきた。
「ど、どうしたんだろう……行かなきゃ」
──不審者……じゃないよね?
以前、立花と二葉が2人きりのときに、柄の悪い男に絡まれたので、警戒する。
袖で濡れた目を拭き取ると、二葉を連れて表へ向かった。
「別に大丈夫だとは思いますけど……」
そうぼやく二葉の予想のほうが正しいだなんて、焦る立花には到底思えなかった。
カウンターの外に出て、1人の男性を囲んでいる輪が目に入り、立花は驚きで目をぱちくりとさせた。
「あっ! 今呼ぼうとしてたのよー。ほらほら、恋人さんがご挨拶にって」
確かに「俺もお世話になっていたから、ご挨拶したほうがいいかな」と相談を持ちかけられたけれど、とても忙しそうだったから、立花だけでいいと断っていたのに……。
「立花君はいいと言ってたけれど、やっぱり個人的にご挨拶しておきたくて」
「えっ、え……だ、だって。論文があるから忙しいって」
「たった今難所を通ったところ。それも立花君に知らせたかったから」
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