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* Scent.7 *
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締切の日が近付くにつれて、ぴりぴりとした空気を纏っていた涼風の表情が、今は安堵に満ちている。
立花も嬉しくなってにこにことするけれど、急な訪問に内心困っていた。
──お客として来るのは、涼風さんの勝手だけど。
もうそういう間柄ではないことは、ここにいる皆は分かっているのだ。
「絶対に立花さんを自慢したかっただけですよ……。涼風さんって抜け目ないですね」
「えっ、自慢? どうしてそうなるの」
涼風を自慢したい気持ちなら、立花にもそれなりにはあるけれど。
その逆はあり得るのだろうか。
──涼風さん格好いいし、取られたらどうしよう。
そのような心配は決して現実では起こらなかった。
「お似合いのカップルねっ。告白はどっちからだった?」
「もちろん俺ですよ。立花君、美人だから相手にされないと思ってたんですけど。通い詰めた甲斐がありました」
健気で一途な面を見せる涼風に、女性達はきゅんきゅんとときめいている。
一方で少し遠目から会話を聞いていた立花は、みるみるうちに赤くなる頬を手で押さえていた。
自慢というよりは公開処刑に似たやり取りに、あわあわとする。
もしかして、自分の気付かないうちに涼風の機嫌を損ねるようなことをしたから、その仕返しに立花を恥ずかしい目に遭わせにきたのだろうか。
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