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3-4.兄の涙
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…気持ち悪い…。
どれほど時間が経ったろう。僕は水を飲もうとベッドから起き上がった。相変わらず体はフラフラする。神様は不平等だ。僕をなぜこんな体にさせたのか、憎くてたまらない。
〝離婚しよう。〟
〝…この…ち、どうする。〟
〝お互いに引き取るしか…〟
〝君の新しい母親よ〟
頭が……割れそうだ。
僕はそのうち意識を失った。
そして、僕は誰かに呼ばれる声に目を覚ました。
「咲太…」
「…蓮夏…何でここに…」
ぼうっとしながらそう無表情に尋ねると蓮夏は強く横になる僕の体を抱きしめる。
「心配だったから午前で帰ってきたんだ、…帰ってよかったっ、咲太…」
僕は蓮夏の声を聞きながら、ああまた倒れていたのか…と朦朧とする頭で察する。
「僕は…蓮夏に心配かけてばかりだね…」
体に力が入らない。頭の中でずっと何かが霧にかかっていて、…それを晴らそうとすると僕は僕を保てなくなる。
「咲太…君の抱えてること全部、俺が背負うことができたら、どんなにいいか」
蓮夏は優しい。
「蓮夏、無理しないで…。僕は蓮夏と居たい。でも…、無理するのは違うよ…蓮夏」
体を抱きしめる蓮夏の頭を僕は撫でる。
「…僕は大丈夫。早く…1人で全部できるようにするから、もう迷惑かけないから」
蓮夏はそっと僕の体を離した。
横たわる僕を上から見下ろすように見つめる蓮夏。
「…どうして分かってくれないんだ。どうして、そんなことばかり俺に言うんだ…っ」
蓮夏はくたりとベッドに預けた僕の手を引き寄せ、自らの頬に当てた。
蓮夏…泣いてる…?
「…俺といるのは窮屈か?俺が迷惑なのか…?咲太がいなくなったら俺は…どうやって生きていけばいいんだ……っ」
蓮夏は僕の手を顔に押し付けたまま体を震わせていた。
手に、蓮夏の色々な想いを感じる。
僕はもう片方の手をゆっくりと上げ、蓮夏の頬に軽く当てた。
「…咲太?」
綺麗に、顔を上げた蓮夏の瞳から涙が零れ落ちた。
「蓮夏、お願いだよ。泣かないで…」
僕は蓮夏の目元の涙を指で拭う。
ぎゅっと蓮夏にその手を取られる。
蓮夏の舌が、僕の手のひらをぺろりと舐める。
「はっ…か…、」
まるで猫のように手を舐める蓮夏に、僕は身をよじらせる。
…くすぐったい。
人差し指をぺろりと舐める蓮夏の目が妖艶に僕を見つめて金縛りにあったように逸らせなくなる。
蓮夏の口から見える舌が異様に赤くてエロチックで、僕はかああっと顔に熱が昇った。
「…蓮夏」
してはいけないことをしているような、居た堪れない気持ちになって僕はそこから逃げるように目線をそらす。
ちゅ、と僕の指にキスを落とす蓮夏。
「…ごめん。咲太が意地悪なことばかり言うから、つい」
蓮夏は僕の手の甲に頬を当て、どこか気持ちを落ち着かせているようだった。
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