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だけどそんな決意も虚しく、月島はことある事に僕に絡んできた。
まあ絡んできても、適当にあしらうから別にいい。ただ、旭といる時に絡まれるのが、すごく嫌だ。
だって月島は、僕と月島が特別みたいな、暗に含んだ言い方をする。
そのせいで、日に日に旭が、僕と月島の関係に疑問を持ち始めていた。
今日も、講義が終わって旭と待ち合わせている中庭へ向かおうとした所を、月島に腕を掴まれて邪魔をされた。
僕は、ムッとして腕を引くけど、月島は細身のくせに力が強くてビクともしない。
「なに?離してよ」
「嫌だね。なあ乃亜くん、たまには俺に付き合ってくれよ」
「はあ?なんで僕がそんなことせなあかんの?待ち合わせしてるから離して」
「待ち合わせって、あの兄貴だろ?君たち、いつも一緒にいるよな。でも、君の兄貴…、人間だろ?」
「ちょっ…」
僕は、月島に腕を掴まれたまま、人気のない廊下の隅へと移動する。
「そういうことを、人の前で言うなっ」
月島の手を、腕を振って払い退けながら、僕は月島を睨みつける。
月島は、口端を釣り上げて、尖る犬歯を見せた。
「なんで?俺は別に周りにバレてもいいんだぜ?」
「は?そんなことになれば、あんただって人間社会に居ずらくなるやん…」
「気づいた奴の血を、片っ端から抜けばいい」
「アホか…。そんなことすれば、鬼退治の奴が来るよ」
「鬼退治?」
いつもヘラヘラと人を馬鹿にしたような態度の月島が、険しい顔をする。
「知らんの?あいつ…問答無用で斬りかかってくる…。僕は、女の吸血鬼が殺されてる所を見たんだ。実際に僕も殺されかけたし…」
「なんだ、そいつ…。強いのか?」
「強い。まあ、僕は戦い方を知らないから何も出来んかったけど、あんたもヤバいと思うよ」
「ちっ…」
月島は、小さく舌打ちをして、何かを考える素振りをする。
そして、再び僕の腕を掴んで、鋭い視線を向けてきた。
「そんな奴がいるなら猶のこと、乃亜くん、俺の傍にいろよ。俺と君が組めば、そいつをやっつけられるんじゃないか?」
僕は、もう一度腕を振り払って、月島から距離を取る。
「いやだ。勝手に狩られればいいやん。だってあんた、人間を襲ってるんやろ?僕は、人間を襲ったことは一度もない。鬼退治の奴も、そのことを知ってる。だから、あんたと一緒にいる方が、僕は危険なんや」
「乃亜くん…、俺ら一族を裏切るのか?」
「裏切るも何も…僕は人間や。血を吸うあんたらとは違う。だからもう、僕には関わらんといて…っ」
そう吐き捨てると、僕はその場から全速力で走り去った。
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