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「…綺麗な方ですね」
「うん。自慢の母上なんだ」
「さっきのは一体どういう話だったんでしょうか?」
「………母上はね、ここから遠い遠い東にある国の血を引いていてね、自分の運命の相手が分かるんだ」
「『運命の相手』?」
「生涯の番、だそうです」
「そんな事がわかるんですね…」
運命ね…そんなものがあるのだろうか
「あ、じゃあヒナホ様の運命の相手って…」
「違ういます。父上じゃない」
「え?」
「母上の運命の人は、猫だったんだって」
「ね、猫ですか」
「運命って言ってもて、この血を持つ僕達しか分からないんです。だから母上も結局その猫を飼っただけでした。でもその猫の毛を整える母上は世界中の誰よりも幸せそうでした」
「そんなことが、あったんですね………」
それが真かはわからないが、なんとも不思議な話だ。
「シアン様はもう見つけられたのですか?」
彼だってその血を半分引いているのだ。
「え?」
「…?」
………
彼はきょとんした顔になった。
「あ、すいません。てっきりシアン様も運命の相手がわかるのかと思っていて」
親子だから、は関係ないのか…
「…………、昨日僕があそこに連れていった意味分かってなかったんですか?」
「それは私が山登りが好きだと言ったから…」
「僕は、一昨日初めて会ったばかりの人の為にあそこまで行動したりしません」
「…………私にも分からなかったんです。シアン様の心遣いはとても感謝しております。けれどどうして、そこまで私を気にかけてくれのか…」
率直な気持ちを伝えると、傷ついた顔をされた。
「…僕の運命が、フォルダムだからだよ」
そんなわけない、と思った。
いや、そう願った。
けれど同時に、皇帝や侍女の対応の意味が理解できた。
彼等は同性でありながらも、俺が皇子の婚約者になる可能性を知っていたのだ。
運命は俺の知らない所ですでに、始まっていたのだ。
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