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「えぇ都合がつけば喜んで」
都合をつかせない様にしよう…
夫婦とは、こうやって本音を隠しながらのらりくらりと生きていくものなのだろうか…
その後アンナとお茶をしてから、フォルダムは一人まだ自分の宮がある王都へと帰って行った。
ルバートは王宮からやや遠く、馬車で約1日はかかる。
その道中にも慣れ始めていた。
「なぁ、妻の買い物に付き合うのも夫の義務か?」
馬車を降りての休憩中、少し前に結婚した護衛騎士にそう尋ねると彼は微妙な顔をした。
「それはまぁ、普段それなりに苦労をかけていますので相手がそう望むなら……最もそう機会はありませんが」
「そうか」
自分は彼女に苦労をかけてはいないと思いたかった。
「アンナ殿の事ですか?」
「ん?まぁそんなものだ」
「殿下がこんなに気にかけてくださるなんて、アンナ殿は幸せですね」
「……貴重な意見をありがとう」
決してそうではないと、悟らせないようにする。
結婚を取りやめて、爵位だけ欲しいだなんていくら王子とはいえ許されることではない。
「そろそろ出発しましょうか」
侍従の声に、再び馬車の中に戻る。
走り出した馬車の窓からは沈んで行く太陽が見えた。
王都に着く頃にはきっと真っ暗になっているだろう。
「お帰りなさいませ。殿下」
自宮にやっと辿り着くと、女官や侍従達が出迎えてくれた。
「ただいま。留守中何もなかったか?」
「はい、この宮殿では何も。ただ王宮が少々騒がしいようです」
「宮殿が…?」
何故だろう、慣例の行事のある月でもないのに。
明日、誰かに聞いてみよう…
「わかった。ひとまず今夜は休む」
「かしこまりました」
やはり旅の疲れもあってその日は寝床に着くとすぐ眠ってしまった。
翌日、父上へのご機嫌伺いの為王宮を訪れた。
「実は、アーヌ帝国の皇太子殿が、我が国を訪問することが決まりまして」
「は?」
長い廊下を王宮の侍従と歩きながら彼に質問すると衝撃的な内容を告げられた。
「皇太子って……いつ、誰に?」
「あちらでは一月前には、決まっていたそうです。我々が知ったのは5日ほど前ですが」
「誰になったんだ」
「第三皇子様ですね。まぁ彼の母親は隣国の王女ですし、順当かと」
第三皇子…
遠くから見たことはあるが、利発そうな方だった。
……、シアン様なわけないよな
「そうだな。それで皇太子殿下はいつ頃こちらに来るんだ?」
「一月後らしいです。現在立皇子の挨拶でアーヌから挨拶周りのしている途中だそうです」
「そうか…」
長い廊下も会話しているうちに終わり目の前には国王の執務室の扉があった。
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