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今の所行えるのは、漁船への自衛の武器の貸し出しと、少数の護衛を雇うことぐらいだ。
海賊を捕まえるだけの、技術を持った人間がいればな…
いつも小さな希望を探しながら、それは見つからないでいる。
考えることに疲れて、顔を動かすとアーヌの文字が見えた
大陸のほぼ中央から北を支配する帝国は地図の上からでもわかりやすい。
皇太子は今頃何処にいるのだろう。
一ヶ月後と言ったから、まだ一、二カ国目を巡れているのかもしれない。
「広いな、世界は」
半年前に帝国の首都で、優れた領主になると誓ったのに、早くも挫けそうだ。
シアン様にこんな姿、見られなくてよかったと心底思った。
一ヶ月後、予定より少し早くアーヌの皇太子殿下は王都に到着した。
「暖かい歓迎をありがとうございます。セザンヌ王」
「この度はおめでとうございます、皇太子殿下。どうぞごゆっくりお過ごしください」
王族の一員として参加した晩餐会で見た皇太子はやはり記憶の中の男一緒だった。
長旅の疲れは見えず、国王の隣で楽しそうに話している彼に敵わないと思った。
席が決まっている晩餐会では皇太子からやや離れた位置に着席していた。
「フォルダムと兄上達は帰ってきた時げっそりしてたのに元気だな、皇太子殿下は」
隣に座っていた二つ上の兄も同じことを思っていたようだ。
「間の国で休みながら来たからでしょう」
「それもそれか、お前帰って来た時は5歳ぐらい老けてたぞ。アーヌで殿下とは喋ったのか?」
「儀礼的な程度は。カラダム兄上はお話なさらないのですか?」
「兄上が終わったら行くよ。この先も会うことになるし」
王位継承権を持てるのは第二王子とその直系までだ。
第三王子以下と、王女は成人後は臣籍降下するか、他国に嫁ぐかのどちらかが慣例となっている。
「すごいよな。8人もいる皇子の中で指名されるんだから。阿呆だと思われたらどうしよう」
「頑張ってくださいよ、失敗したらセルダム兄上にボコボコにされますよ」
小声で冗談を言い合いながら、料理を食べていると、ふと視線を感じた。
何だろうと思うと、皇太子がこちらを見ていた。
しかしその視線はすぐ父上の方に戻っていった。
なんだったのだろう…と思いつつもその後誰かに何かを言われることはなく、晩餐会は平和に終わっていった。
と、思っていた。
その晩、自宮に戻り『明日から皇太子殿下のお供をするように』という父からの書状が届いたのは、もう就寝しようとていた時だった。
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