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「大体は把握してたけど大変だったね」
一通り説明が終わると皇太子から労りの言葉をもらった。
「この度はお力添えありがとうございました」
「まぁ最悪セザンヌでダメだったならこっちに来てシアンに養って貰えばいいしね」
「………」
年下の子供に養って貰うだなんて恥ずかし過ぎる。
「まぁ一番大事な報告は聞けたし、また明日ゆっくり話でもしよう」
到着する前に知ったが、歓迎の宴は今夜ではなく明日行われるらしい。
「それでもいいですよね、陛下?」
「あぁ、もう下がっていいぞ」
「失礼いたします」
部屋から出ると、控えていた侍女に皇城の中を案内された。
先程の部屋を思い出して、アーヌの主権が皇帝から皇太子に移り始めているのがわかった。
いつかこの国にも新しい、時代が来るのだ…
その時俺はちゃんと公爵をできているだろうか…
物思いにふけっていると、いつのまにか皇城の壁が、後宮の物になっていた。
これって…
まさか、と心臓がいつもと違う音を立てながら廊下を進んだり、階段を昇ったりしていると、ある一室の前で侍女は止まった。
彼女は慣れた様に扉をノックすると中からまた違う侍女が出て来た。
しかし俺はその女性を知っていた。
「ルル様、ハラセント公がお越しになりました」
「ありがとう。後は私がやるわ」
案内してくれた侍女が下がると彼女に微笑まれた。
「お久しぶりですね」
「覚えていて頂いたなんて、光栄ですわ。シアン様が中でお待ちですよ」
彼女に続いて中に入ると、12歳のシアン様がいた。
「フォルダム!」
抱きつかれた身長は胸の辺りまで来ていた。
「会いたかった!もし来れなかったら、どうしようって…父上達に何か言われた?」
見上げてくる丸みを帯びていた顔には少し青年の兆しが見えた。
「お労わりの言葉を貰えました」
「そっか…。大変だったらしいものね。ごめんね、あんまり力になれなくて」
「いえ、陛下や皇太子殿下にご尽力頂いけましたから」
「よかった…。あ、座って軽食を用意してたんだけど、お腹減ってる?」
シアン様の視線の先を見ると、アーヌの茶菓子が準備されていた。
「少し減っています」
本当は大分空いているが、甘いそれらにがっつくのも恥ずかしく控えめに答える。
促されるまま席に着くとシアン様自らお茶を入れてくれた。
「フォルダムはもうルバートで暮らしてるんだっけ?」
「はい。半年と少し前から…」
「漁業が有名だって聞いたけど」
「そうですね。魚を売る店が至る所にあります。生魚をその場で調理してくれる料理屋もあって、とっても美味しいんですよ。シアン様は魚好きでしたっけ?」
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