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「うん、魚も貝もタコも好きだよ」
「よかった。それじゃあルバートに来たら、沢山俺が案内しますよ」
「………」
あれ?返事がない?
いや、タイミングがずれただけなかな?
「カモメがよく飛んでいますね。朝はあいつらの声で目が覚めます」
「そうなんだ…すごいね、ここからじゃ全然想像つかないや」
「俺も最初はうるさ過ぎて、あの声を聞くだけで嫌でした」
今はもう慣れてなんとも思わないが…
「………じゃあ僕も毎朝早起きしちゃいそうだね」
「そうですね」
それから会えなかった分、色んな話をした。
俺の話はゴタゴタしていて面白くないと思ったが、シアン様は聞きたがった。
大体話し終えると、俺ばっかりだとシアン様の話も強請った。
どこか恥ずかしそうに話してくれた。
あの後から剣の練習が始まって、数ヶ月前に国の大会で「演武」の種目で出たこと。
「入賞はできなかったんだけどね」
きっとその大会にはベテランがいたのだろう
それから皇室の仕事を年上の皇子や皇女と一緒に少しずつ手伝っていること。
ヒナホ様の影響が大きいらしく、舞踊や伝統芸能の分野が多いらしい。
母様には知識も技術も敵わないとつくづく思ったらしい。
「それから北限点に行ったんだ」
そこは陸続きの大陸のさらに先にある、アーヌの自治領である小さな島だ。
人口が1000人を超えるか、超えないかぐらいしかおらず、一年を通して気温が低い。
「夏に行ったんですか?」
「ううん。行ったのは秋の初めかな、中々陛下も許してくれなくてね」
冬になると、その島の周囲は巨大な氷河によって閉ざされると言われている。
だから住民達も夏の間に冬支度をするのだ。
「いいですね。一度行ってみたい場所なんです」
「……そうだね。その地方に残る冬の神への祈りの祭りと視察を兼ねた公務の一貫だったんだけど、僕も見たことがない景色ばっかりだった。
もう雪が積もり始めていて、犬ぞりって知ってる?あれで島を移動するだけど、中々言うことを聞いてくれなくてね。
向こうの人の言うことはピタって聞くのに、恥ずかしかったな。
それからオーロラが綺麗だった。
大陸の北側でも見られるけど、また違った景色ですごい感動した」
シアン様が話す島の状況に俺は夢中だった。
アーヌの首都より北には行ったことがないのに、それよりもさらに北、世界の果てと言われている場所は一体どんなところなのかと、興奮が収まらなかった。
「なんだか、すごく楽しそうだね」
「ええ、すごく気になります」
「フォムダムってもしかして旅が好きなの?」
「…実は、そうなんです。あんまり王族らしくなくて、まぁ今はもう違うんですけど、言わないようにしてて…」
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