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服を脱いで身体を洗い始めると、熱気が浴室に広がり始めた。
お湯が贅沢に使えることに感謝しつつ、説明されたいくつかの美しい細工が施されたガラス瓶を傾けていく。
いい匂いだな…
シアン様から時々する柑橘系の香りはこれだったのか
体の汚れを洗い流すと、浴槽に入る。
俺が入っても浴槽はまだ余裕があった。
さすが、アーヌの皇子様だな
…ルバートの屋敷の浴槽は、もっと質素で狭いと、今のうちから言っておいた方がいいのだろうか
この生活の質を捨てるだなんて、できるのだろうか
貴族夫婦の仲違いの原因の一つは、生活の質の違いだというし
「気持ちぃのにな…」
肩まではられたお湯は長旅の凝り固まった身体を癒してくれた。
再び眠くならない程度に風呂を満喫して、用意されていたタオルで身体を拭きいつものようにナイトガウンを着ようと手を伸ばしたが、手が止まった。
これ、着たら部屋からでれないんじゃ…
流石に用意された部屋に帰るために、誰とすれ違うかわからない後宮の廊下をこの格好で歩くわけにもいかない
慌ててさっきまで着ていた服の方を手にとって身に纏う。
せっかくの風呂が少し残念だったが、仕方ない。
「お風呂ありがとうございました」
部屋に戻るとまだシアン様はむすっとした顔をしていたが、俺のことを見ると目を丸くさせた。
「あれ?ナイトガウン無かった?」
「ありましたけど、部屋を出るときにもう一度着替えないといけませんから」
「なんで?取りに行くものあるならルルに頼めばいいのに」
「はぁ…、でも頂いた部屋に向かう時に廊下をガウンで歩くわけには参りませんから」
「え?」
ん……?
何故か話しが通じてないような…
「フォルダムはここで寝るんだから、廊下歩かないよ?」
「………はい?」
「………さっきも同じようなこと聞いてきたけど、陛下に滞在中は僕の部屋で過ごしていいって許可はもらってるから」
………それはつまり
「だからナイトガウン着ても大丈夫だよ」
「………」
「………どうしたの?」
いや、いやいやいやいや…
なんで皇子様と同室なんだ!
そりゃあ婚約者だけど!
普通こういう時は別室なんじゃないのか?
というかさっきまで風呂に一緒に入るか、入らないかで揉めてたのに、なんで許可だしたんだ皇帝!
断りにくくなるじゃないか!
瞬時に頭に様々な言葉が並んだが、口に出せた物は一つもなかった。
「あの、ルルさんは…?」
「フォルダムがいる間は隣の部屋で寝るって。旦那さんがいるから早く帰ればいいのに」
なんで風呂はダメで、一緒の部屋で寝るのは平気なのか、彼女の基準が分からない。
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