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「しかし、婚約者とはいえ…私がこの部屋に滞在するのはおこがましいというか…」
「何で?父上もいいって言ったし、ルルもいいって言った。後は誰の許可がいるの?」
頭の回転が速いのか、天然なのか…
俺を見てくるシアン様の表情から読み取ることは難しい。
「…この部屋には寝台が一つしかありません」
「大丈夫だよ。二人で寝ても広いから」
「それは、そうなんですが…」
一緒にシアン様と寝るのは…
「…………僕と一緒に寝るのは嫌?」
その聞き方に嫌な予感がした。
初めてアーヌで会った時も、そうやってケンカ別れしてしまった。
「………シアン様、私達は婚約中なんですよ。風呂に入るだけであんなにルルさんが警戒したんです。一緒の寝台で寝たりしたら、俺緊張して眠れる気がしないです………」
「…………、えっ」
え?一気に彼の顔が真っ赤になった。
「え、え、フォルダムは僕と一緒に寝て緊張するの?」
「そりゃあしますよ」
相手は帝国の皇子様だし、もし寝ている間に何か粗相をしまってこの婚約が破談にでもなれば、俺は本当に全てを失うことになるし、支えてくれた人にも、傷つけてしまった人にも、申し訳ない。
シアン様がそんなことをしないとは思ってはいるのだが……
「だからどうかお許しください」
「……、どうしても?」
「はい」
「……じゃあ今日だけね、明日からは一緒に寝て?」
できれば明日も別々がいいのだが…
「お約束はできませんが、善処は致します」
「分かった……じゃあ、ルルに伝えてくるね。フォルダムはもう休む?」
「もうお休みになるのでしたら、部屋に下がらせていただきますが、シアン様にお付き合いしますよ」
とは言ったものの、もうかなり眠かったりする。
「僕ももう寝ようかな…ルル!」
恐らくこの事を伝える為に彼女がいるであろう所にシアン様が向かうと、少ししてからまだ仕事着のルルさんが現れた。
「お部屋までお送りしますわ」
「ありがとうございます」
「おやすみ、フォルダムまた明日ね」
「おやすみなさいませ」
一礼してから部屋を出ると、後宮の静かな廊下に二人分の足音が鳴り始めた。
「……てっきりシアン様のお部屋でお休みになられるのかと思っておりました」
「申し訳ありません」
「本当ですわ。主人にも一週間は帰らないと宣言してきましたのに」
クスクスと笑いながら彼女は言った。
「いつぞやも私がこうして公爵様をお送りいたしましたね」
「ええ…そうでしたね」
最もあの頃は今ほど落ち着いてはいられなかった…
今も平穏とは言えないけれど
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