アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
プロローグ
-
「お前、俺と付き合え」
「………………へっ??」
万智 玲(まち れい)、17歳、男、趣味は読書。
私事ながら、地味で日の当たらないこの人生で初めて、
立ち入り禁止の屋上に連れ込まれ、脅迫と同時に告白をされたのだけど
「で?返事は」
正直めちゃくちゃ怖い…!
後ろでガシャンと音を立てて歪むフェンス。
すぐ目の前に迫る胸元の痛々しい傷。
僕の顔の脇に左手を着く薄ピンク髪のこの男の子は、
学校一不真面でほとんどの生徒が避けて通るほどの素行不良だと噂の椎奈(しいな)くん。
流石、学校一と謳われるだけあって拒否を許さないような迫力がある。
そ、そんな人に僕は一体何をしでかしたのだろうか…?
もちろん地味を極めてる影のような僕にはメンチを切られる覚えはあっても、
告白をされる覚えは全くない。
ない………よな…?
「聞いてんのか」
「すっ、すみません!聞こえなかったのでもう一度お願いしても…」
「あ゛ぁ?だから付き合えって言ってんだよ、この距離で聞こえねぇとか聴力バブちゃんか」
ぶ、ブチ切れてる……!
どうして『劣っている』の表現がバブちゃんなのが少し気になるけど、そんなことは今どうでもよくって。
あぁ…やっぱり聞き間違いじゃなかったのか…え、じゃあどうして僕なんかに告白……もしかして何かのゲームとか………?
うう……出来ればバブちゃんであって欲しかったんだけれど。
残念ながら年相応に聴力を備えた耳は数センチ先で繰り返された言葉を
一言一句漏らさずしっかり拾ってしまった。
「試しに一週間。一週間の内でやっぱりダメだって思ったらまた振れよ。そしたらもう二度と近づかねぇ」
「で、でも…!」
「ッチ。ごー、よーん」
とうとう鋭い目付きで、さらに地を這うような声でカウントダウンが始まってしまう。
こんなおどろおどろしい、ちっともワクワクしないカウントダウン聞いたことがない。
「ち、ちなみにそれ、なんのカウントですか?」
「俺への反抗または挑発とみなしてここでぶち犯す」
「ひぃぃっ、そんなぁっ」
「さーん、にーぃ」
「わ、わわわわっ、わかりました!」
「……………あっそ。」
『あっそ』!?
信じられない……っ
告白をしてきた側とは到底思えないその反応にドッと肩の力が抜ける。
こんなに強引なうえに身勝手でなにより顔面が恐ろしい人は初めてだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 6