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俺は、かわいそうな弱い動物なんかじゃない。
アンタの俺に対するその気持ちは、愛ではなくただの慈悲なんだよ。
それに早く気付いてくれ。
そしてもう二度と俺に近寄るな。
そう、言ってやるつもりだった。
言ってやるつもりだったのに。
冷たい手が、頬に触れた。
涙を拭ってくれたんだと、気付いたのはこの後ボスザルがいなくなってからだった。
「わかったから」
「……な、に…」
「わかったからそんなに怯えるな」
優しい声だった。
「お前は、普通のヤツだもんな。悪かったよ」
なんでだろう、やっぱり涙が溢れて止まらない。
違うんだ、違うんだよ。
俺は、俺は…。
「祐介、って呼ぶのは、今で最後にすっから」
別にアンタにそんな顔をさせたかったわけじゃないんだ。
ただ恐かっただけなんだよ。
それからボスザルは俺の真横を通って俺の前から姿を消した。
きっともう、関わる事はない。
最後に触れられたその頬が、いつまでも熱かった。
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