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2021年 恵方巻 ②
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「もうっ!そんなの反則っ!」
「おぉっ…??」
そう言って、天花に抱きつく。
突如飛びつかれても、天花はチェシャをしっかりと受け止める。
さっきから老眼鏡をかけて作業をしていたが、チェシャの方を向いたのは初めてだった。視線を合わせて興奮しているチェシャは厄介だ。
「可愛いっ!可愛いっ!可愛いっ!!」
「?」
チェシャの性癖はなんとも共感しがたいため、天花には理解できないことの方が多い。
だから、突如何かに興奮して抱きついてこられても、天花には想像ができない。
「ゆきちゃんっ!!好きっ!大好きっ!」
また、始まった…
「はいはい」
ぽんぽんとチェシャの背中を宥める。
「いいから、落ち着きなさい」
天花は、呆れていた。
「だって、ゆきちゃん可愛いんだもんっ!ちょーちょーエッチじゃんっ!」
何語を喋っているのかと、疑いたくなるレベルだ。
おっさんの老眼鏡にそんな興奮する必要がどこにあるのかと疑問に思う。
そう思う天花の感性はまともではないだろうか。
確かに、性癖というのは個人的なものなので、どんなものに引かれようとも、後ろ指を刺すような事はないと思う。それぞれ趣味、趣向が違うのは、人間としては当たり前だ。
その好みが合うもの同士で、末長く幸せになれば、それに越した事はない。
「はいはい」
チェシャの興奮に慣れている天花は、キラキラした目をむけてくる視線にドキリとしたが、あまり見ないよう視線を逸らした。
無邪気な好意を爆発させるチェシャの表情に、思わず可愛いと思っている自分を戒める。
「わかったから、離れなさい」
天花は、そう言って冷静にチェシャを諫める。
「ゆきちゃん」
チェシャは、琥珀色の瞳を天花に向ける。
「…なに?」
訝るような視線を天花は向ける。
「ゆきちゃんの恵方巻…夜食べていい?」
「!!???」
さっきの話を思い出して、天花は目を向く。
「なっ!!?」
そして、言葉を失う。
そういう意味だったのかと、天花は思わず顔を赤くする。
「あれ?気付いてなかったの?」
「気付くわけないだろ!」
チェシャは、形よく正座をしている天花の真っ黒袈裟に覆われている下半身の中央部を躊躇いもなく指差した。
そして『恵方巻』と揶揄したので、天花は、それがどういう意味なのかを察して驚いた。
つまり…
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