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2021年6月雨の日の巻 ❷
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「なんない」
まるで、へそを曲げた子供と問答をするような天花は優しく髪を撫でる。
「じゃあ、どおしたらよくなると思う?」
天花の言葉にチェシャは目を開けた。
目の前に天花の足が見える。
「…よくならない」
「ずっと苦しいまま?」
「そうだよ」
「それでいいの?」
「だってしょうがないじゃん」
口を尖らせたチェシャを優しく詰る。
「そうか」
「なんだよっ」
天花が優しく詰るのが居心地が悪くてチェシャは顔をあげた。
そして起き上がる。
「起き上がれるじゃん」
すると、天花が穏やかに微笑んでいた。
その顔を見たチェシャは、好きな気持ちが昂って居心地が悪くなる。
どうせ、チェシャが薬を飲んだら、部屋を出て行ってしまうんじゃないか…
ただ体調の悪いチェシャに薬を飲ませて、天花が安心したいだけ。
絶対に天花はそんな風には思っていないのに、機嫌の悪いチェシャは悪い方に考えて意固地になる。
「…別に起き上がれないなんて言ってない」
「そうだな」
そう思うのに、天花が穏やかに微笑んでチェシャの髪を優しく撫でるから、絆されそうになってしまう。
「どうした?」
チェシャのブスッとした表情をみた天花は微笑んだ。
「…どうもしないよ」
さっさと部屋を出て行けばいいのに。
「チェシャ」
優しく名前を呼んで、その気もないのに優しくしないでほしい。
チェシャのササクレだった心が、天花を拒絶する。
「触らないでよ」
珍しく拒絶するチェシャに、天花は驚く。
「…さっさと、出てって」
チェシャは思い切り視線をそらした。
心にもないことを口走る。
「…」
本当は、側にいて欲しいのに…
天花の顔が見れなかった。
「それ、本気で言ってるのか?」
「うるさい」
天花の手を払うが、チェシャの細い手首を天花が掴む。
「チェシャ」
頭が痛い。
体調が悪い。
心が苦しい。
最後の原因を作ってしまったのは自分なのに…
「こっち向け」
チェシャが天花から視線を逸らしていると、天花が語彙を強める。
「…」
恐る恐るチェシャが視線を上げる。
そして上目遣いに天花と視線を合わせる。
「っ…!」
すると、チェシャはくしゃっと表情を歪めて天花に抱きついた。
「ゆきちゃんっ!」
「はいはい」
今にも泣き出しそうなほど弱々しいチェシャは、天花に抱きついて腕を回した。
チェシャの背を撫でる。チェシャの背中は多少肉付きが良くなって、背骨に柔らかな肉がついている。
かつては、ガリガリに痩せ細っている時期もあったが、最近ふっくらしてきたことに天花は安心していた。
「チェシャ」
「…?」
天花は、足を崩して向き合うようにチェシャと座る。
「お前、パンツしか履いてないだろ?」
「え?うん…」
ニヤリと天花は微笑んだ。
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